アルコール消毒で手荒れする原因と対策とは?
アルコール消毒を毎日繰り返し行うと手荒れする人も多いです。アルコール消毒は感染症予防には非常に効果がありますが、肌には刺激が強いため手荒れの原因となってしまいます。ここでは、なぜ手洗いやアルコール消毒が手荒れを引き起こすのか、どうすれば手荒れを防げるか、手荒れになってしまった時の治療法についてご紹介します。
手洗いやアルコール消毒で手が荒れる原因
手にはもともとうるおいを守る力であるバリア機能が備わっています。それは皮膚の表面にある角質層が皮脂や汗でできた皮脂膜に覆われていて、外界からの刺激物の侵入を防いで水分を保持してくれる機能です。日に何度も繰り返される手洗いとアルコール消毒によって皮脂膜が菌とともに洗い流されることで手荒れを引き起こします。
皮脂膜は通常しばらくすると回復するのですが、頻繁に手洗いとアルコール消毒を繰り返すことで、皮脂膜が回復できなくなってしまい、角質層の水分が蒸発して手の乾燥状態が進行します。手が荒れた状態で放っておくと、さらに乾燥が進んでひび割れやあかぎれになったり、慢性化したりする恐れもあります。
手荒れがひどくなったことでアルコール消毒液がしみ、手洗いや手指の消毒が不十分になり感染リスクが高まることにもつながります。特に秋から冬にかけては、外気温も湿度も下がって肌が乾燥しやすい時期なのでひときわ十分なケアが必要となります。
手荒れの主な症状
手洗いやアルコール消毒は感染症対策に不可欠ですが、それによって手が荒れたり、アルコールが荒れた部分に染みて痛いという人も増えています。具体的にはどのような症状があるのでしょうか。
・カサカサ:手荒れの初期の症状で、手のひらや指先にかさつきを感じる状態
・ひび:乾燥によって手のひら全体の皮膚が硬くなってひび割れができる状態
・あかぎれ:ひび割れの状態が進み、腫れたり出血したりして痛みを伴う状態
・手湿疹:手荒れが進行した状態で、カサカサして乾燥するタイプと、水疱ができてジュクジュクするタイプがあり、膿んでかゆみや痛みに悩まされる状態
手湿疹は洗濯や炊事などの水仕事が多い主婦に多い症状のため、以前は主婦湿疹ともいわれていましたが、現在は感染予防のために頻繁に手洗いやアルコール消毒が行われるので、あらゆる世代で増加している症状です。手荒れを放置していると、ひびが進行して亀裂が深くなってしまったり、爪が変形してしまったりという重症化を引き起こすこともあります。また、慢性化してしまってなかなか治りにくくなってしまう可能性もあります。手荒れがひどくなった場合には、皮膚科で治療を受ける必要があります。治療では病院処方の保湿剤や外用ステロイド剤の使用や、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の処方が一般的です。
手荒れの予防対策と治療法
では、手荒れを防ぐためにはどのような対策が必要なのでしょうか。また、手荒れの症状になってしまった場合にどのような治療法があるのでしょうか。
手洗いの水の温度
手洗いの際は高温の水を避けるようにします。高温の水は手の脂を落としすぎてしまう可能性があります。また、皮膚の末しょう神経は43度以上に反応してかゆみや痛みを引き起こします。手洗いの水の温度は40度以下に抑えましょう。また、石けんはよく泡立てて使用し、すすぎ残しのないようにしっかりと洗い流しましょう。
手洗い後のふき取り
手洗い後はすぐに水分をふき取りましょう。その際に、ごしごしと強くこするのではなく、肌にそっとタオルをあてて、ぽんぽんとやさしくふきとります。この時もふき残しがないようにしっかりと水分をふき取ります。
手洗い・アルコール消毒後の保湿
手洗いやアルコール消毒をした後はハンドクリームや薬用のジェルを使用して保湿をすることで手荒れを防げます。殺菌有効成分や抗炎症有効成分が含まれたものであれば、手荒れを防ぎながら潤いを守ってくれます。手荒れがひどい場合には、保湿剤をたっぷりと塗ってその上から絹や綿の手袋をして寝ると効果的です。
手洗いとアルコール消毒の併用
手があきらかに汚れていない場合には、手洗いよりもアルコール消毒の使用が効果的です。アルコール消毒剤には高い抗菌活性があり、皮膚の損傷リスクが低いといわれています。ただし、目に見える汚れがある場合やアルコールへの抵抗力のある病原菌が想定される場合には必ず石けんをしようして手洗いをします。
手がひびやあかぎれで切れてしまって痛みがある場合や、切れた部分から膿が出ている場合、手が腫れてしまった場合などには皮膚科を受診しましょう。手湿疹以外にも進行している症状があるかもわかりません。詳しく検査してもらい、原因を特定してもらったうえで有効な薬を処方してもらうことが必要です。
感染症対策のために今後も続けていく手洗いとアルコール消毒。それによって手荒れを引き起こさないよう、できるだけ事前の対策をしっかりしておきたいですね。手荒れがひどい場合には家族に協力してもらい、なるべく水仕事を減らすようにして悪化しないように気をつけましょう。